雨上がりの唄

先ほど、コンビニへ海草サラダを買いに家を出たら、アスファルトに水溜りが出来ていた。どうやら雨が降っていたらしい。既に上がりきっているらしく、極度に冷えているわけでもない、心地の良い、静かな空気で満たされていた。この空気が好きでたまらない。春と初秋の、昼下がりの晴れ間に溢れる、何もかもを忘れ去ってしまいそうな、あの空気と同じもしくはそれ以上に好きだ。包まれた瞬間、自分の時が止まってしまう。そういう時間は大切だ。たまには時を止めてやらないと、ゆっくりと、落ち着いて、過去の時を眺めることは出来ない。感覚を戻そうとして無理に時の流れに逆らうのは痛ましいことだけども、振り返らないでただ白紙を貰い続けることも同じくらい痛ましいことだ。そんなことを考えながら、コンビニまでの道のりを、足音を聞きながら踏みしめていた。次に住む所でも、こういう機会に恵まれたらいいな、と思った。