力を力で返す人

高校時代、俺はオタク仲間だった人たちから嫌がらせを受けていた。ネットのゲーム内で、俺の名前を勝手に使って「キモイ」とか「バカ」とか、なんかそんな言葉をたくさん書かれていた。時には実況しながら陰口が延々と書かれているときもあった。それに気が付いた俺は、ひどく気分が悪くなったので、そのことを先生に伝えると、学校のサーバーのログをチェック、見事に身元が割れた。
その後、先生から俺にこんな話があった「○○、お前は嫌がらせをしていた奴らをどうしたい?」彼らは、既に進学先や就職先から内定を貰っていた。工業高校の情報学科だったので、情報を扱う身が……、とすれば、辞退させることも可能だと先生は言った。しかし、俺は「……許してやってください。」と言った。結局、彼らは卒業まで別の教室で授業を受ける、という感じに収まった。
そのことを父に報告すると「お父さんは絶対に許さないね。どうせ卒業したらお前もここから離れるだろ」とキッパリ言い切った。

専門学校時代、私はAさん(男)とちょっと親しかっただけなのに、Bさん(女)がやたら嫌がらせしてきたのを覚えていた。どうやら、Aさんを取られそうだったのが嫌だったらしい。先日、同窓会っぽい飲み会があったので行ってみたら、Bさんがいた。聞いた話によると、Aさんとは実らず、未だに彼氏がいないらしい。Bさんは、彼氏がいないことも、まだ処女であることも、コンプレックスに感じていたと友人から聞いた。卒業後に彼氏が出来てセックスもしていた私は、その話も含みつつわざと「ところで彼氏は出来た?」「処女は?」と尋ねた。もう二度と会わないような人だし、嫌がらせの件もあったし。

前者は、俺の話。後者は、筋を通すことを大事だとしていたとある女性の話。
俺は、力を力で返せなかったけど、親父は、力を力で返す人だった。確実に、相手が返しようの無いように、し返す人だったんですよ。
ある意味で尊敬していますよ、その絶対的な判断力は、まさに、この社会で生きていくために必要な、いわば“鈍感力”にも近いものですし。
ムカついた対象に対して、確実にやり返せて、時には“賞賛される愚痴”として評価される……まさに“終わりよければ全てよし”ですね。


真似のしようがないし、真似したくもありませんが。